算数 4年 「倍の計算」(割合)の授業について
算数4年「わり算の筆算」の単元には,「倍の計算」の小単元がある。
使用教科書では,
「親クジラは15m。子クジラは3m。親クジラは子クジラの何倍か。」
という素材が提示されている。
この小単元は割合につながる単元であり,新指導要領では4年生でも簡単な割合が取り入れられている。
割合は子どもたちにとって一番嫌われる単元と言っても過言ではない。
なぜそうなるのか?
それは,「AとBを比べる」という大前提が疎かにされているからだろう。
「比べる方法の一つ」であるという認識が子どもにないからこそ,表面上の計算方法だけを覚えて解こうとしてしまうのだと思われる。
割合の入り口である4年生で,どのような単元が適しているのかを考え,この「倍の計算」の授業をアレンジして行ってみた。
(ちなみに,3年生では「倍を求めるときはわり算を使う。」というまとめ方で倍の計算を学習している。)
本授業で提示した素材は次の通りである。
Aのクジラ 子ども:5m 大人:15m
Bのクジラ 子ども:2m 大人:12m
より大きくなったのはどちらか?
この素材,
「A」…最大値
「同じ」…大人と子どもの差
「B」…倍
というように,この素材のポイントは「比べ方によって,答えが3つ出る。」ということである。
つまり,根拠を明確に伝えればどれでも正解と言えるわけである。
なぜこのような素材にしたのか。
それは,違う立場の意見の根拠を認め合うことができるからである。
そして,Bであるという主張の根拠を考える中で,「倍」で「比べる」ことが自然にできるからである。
あくまでも「比べる」という前提からスタートし,
しかも,最大値や差といった,今までの当たりまえな比べ方も経由することで
「〇をもとにした△」という割合の比べ方につなげることができる素材となった。
この素材を使ったことで,子どもたちも,何をもとにして何を比べているのかをしっかり考えながらAとBを比べることができた。