折れ線グラフ
4年生の初めの単元は「折れ線グラフ」である。
使用教科書では,東京とシドニーの年間の気温が示され,それを比べるために折れ線グラフを学習するという流れになっている。
しかしながら,シドニーという場所を聞いても,児童にはあまりピンとこない。
どこかの遠い外国で,自分が関わることはないであろう場所なのである。
つまり,問題に身近さが足りない。
この2つを比較する必要感が児童にはない。
そこで,本単元では,「今から示すAの都市とBの都市,どちらに住みたいですか?」という問いを子どもに投げかけるところから始めた。
そこで2つの都市の気温の変化を表で示した。
この表をもとに,Aに住みたいか,Bに住みたいかを児童に聞いた。
「直感」で決める段階である。
次に,そう決めた根拠を問うことで,児童は数値を比較しながら表を読み始めた。
初めの段階では,最高気温での比較,最低気温での比較が行われた。
その2つから,Aの方が夏は暑く,冬は寒そうだということが見つけられた。
しかし,年間で見た気温の変化が大きいとは言い切れないという意見が出され,変化を比べる必要性が子どもから出された。
ここで初めて,「年間の変わり方を見やすくするにはどうすればよいか」という「主体的な問い」が生まれたのである。
そこから,棒グラフに示し,折れ線グラフへと移行していった。
毎時間の授業の最後は,その時間で見つけた見方であらためてデータを見直し,どちらの都市が住みたいかという議論を行った。
行わせたわけではなく,自然に生まれていた。「話したい!」が生まれていたのである。
算数的な考え方が身に付いた後の話し合いは,根拠が明確であり,初めの話し合いとは全く違う様相を見せた。
「直感から考え方へ,そして見方へ」が実態として現れ,「意味のある話し合い」が生まれていた単元であった。